私たちファンローカルは、2022年2月にWEBメディア「フロシキ」を公開。まち歩きの記事を数本アップしました。しかし、これからもっと記事の数を増やしていこう!と思いつつも、WEBメディアをうまく活用するためにはどんなことを考えればいいの?そもそも何を目的に?と迷うことも。一度、方向性を改めて見定めた方がいいんじゃない?!ということで、株式会社トーチ代表の佐野和哉さん(さのさん)をファンローカルの事務所がある神戸の塩屋に迎え、WEBメディア勉強会を開くことにしました。
佐野和哉 株式会社トーチ代表取締役/NoMaps 実行委員 1991年早生まれ、北海道遠軽町出身。株式会社博報堂、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)、株式会社quantum、フリーランスを経て、2020年に北海道札幌市にて株式会社トーチを設立。札幌市と故郷のオホーツクエリアを行き来しながら、「どこに住んでいても、つくってゆかいに暮らす」という目標を掲げ、様々なメディアやコミュニティを絡めた事業開発・ブランド開発を行っている。2020年から札幌クリエイティブコンベンション「NoMaps」の実行委員を務めている。 https://torch-inc.jp/
お互いを知るところから
勉強会の前半、まずはファンローカルの紹介から始めました。ファンローカルの活動について、さのさんが興味を持って色々質問してもらえて嬉しい感じ。私たち自身も、ファンローカルのことを振り返る機会になりました。
そして、さのさんのお話。活動のきっかけとなった大学生時代のブログから始まり、立場や住む場所を変えながら現在に至る経緯や、トーチがどんな仕事をしているのかを聞くことができました。今回のテーマであるローカルWEBメディアについては、出身地である道東のオホーツク地域と呼ばれエリアで活動する人を紹介するサイト「オホーツク島」を、岐阜県立情報科学芸術大学院大学(IAMAS)に在学中の2016年に開設、そして、2020年にエリアにとらわれずローカルでの起業や企画、地域に根ざした活動を支援する株式会社トーチを立ち上げ、会社の事業として「トーチライト」という“共につくっていくアクションにつながるためのメディア”を運営されています。
どうやら、都会とローカルの格差を超えることを課題とした試行錯誤が、さのさんの動きの大枠として捉えられそうです。そして参加者と対話しながら、トーチを立ち上げる時に考えたこと、その立ち上げ後に、上手くいかない経験もしながら、最近は直接会うことが重要だと考えていること、WEBでの効果的な発信は、SNSから別の手法に移行しつつあると感じて、ニュースレターを1年間発行していることなどを掘り下げていき、さのさんへの理解を深めることができました。
自分たちがつながりたい人と関わるためにメディアを使えばいい
後半は、ローカルでの活動に対するWEBメディアの役割について、話をしてもらいました。オホーツク島は、サイトの閲覧者が行動を変えるような、直接的な影響はほとんどなかったかもしれないけれど、記事を作るための取材の中で、道東で活動する人との関係性ができたことが成果であり、ローカルへの支援とWEBメディアの関係を考えるヒントになったようです。そして、より多くの地域のつくって暮らす人たちとつながるために、オホーツク島はいったん区切りをつけ、トーチライトで多様な切り口での発信を仕掛けています。「リアルの活動につなげるためのオンライン」という発言もされていましたが、その背景にも、オホーツク島の運営を通じて得た手応えが活かされているように感じました。
さのさんや、私たちのWEBメディアには、まとめブログのような多くのビューを稼いで収益を出すこととは、違う役割があります。また、SNSで発信すれば、拡散される可能性はありますが、SNSを使っていない人が半数はいるわけで、その人たちに届くことはありません。SNSを使っていない人たちの中に、本当に届けたい人がいることもあるのに。「ローカルでの暮らしを楽しむ/楽しめるように変えていく」という、少数派の活動だからこそ、直接巻き込み、活動に参加したもらうことを目的とすることが重要だ、ということを言語化して伝えてもらうことができました。
WEBメディアとして発信する=少しでも多くの人に読んでもらい、評価される「いい」記事を作らないといけないのでは?!と、硬く構えてしまっていたのかも。私たちファンローカルは、そうではなくて、自分が話を聞いてみたい人に話を聞きに行って、繋がるために自分たちのメディアを使えばいいんだ!と、肩の力を少し抜いて動いていけそうです。
また、新型コロナの流行や、仕事が忙しいなかで、ファンローカルメンバー同士でも直接会って話す機会が少なくなっていたこともあって、外部の方も交えて、久しぶりにみんなで喋ることが単純に楽しく、やる気を充電する時間になりました。