筒井さんとめぐる「裏」芦屋 前編

筒井さんとめぐる「裏」芦屋 前編

案内人:芦屋市職員 筒井さん

2020年6月、阪急芦屋川駅から出発して南方面へ芦屋市内をまち歩きしました。

この記事は、前編 / 中編 / 後編 があり、この記事は前編です。

今回のまち歩きマップ

芦屋といえば、閑静な高級住宅街のイメージで全国的に有名です。それはもちろん正しいけれど、まちを表側から見た一面でしかありません。縄文時代から人が住み続けてきた芦屋は、一番上の面を少しめくって,蓄積された過去の暮らしの痕跡と今の暮らしを行き来するのがおもしろい。歴史の深い山手から埋め立てできた海手まで、地形も合わせて4次元的に楽しめるまちです。(筒井さんより)

筒井さんはいつもニヤニヤしている。
常に何か面白いことを企んでいるようだし、面白いことを見つけるのも得意な人だからなんだと思う。

国道43号線沿いの大気汚染度が分かる装置を見てすかさずボタンを押す筒井さん。

芦屋市役所でバリバリと働きながら、軽すぎるフットワークで各地のイベントに出没したり、自分でもイベントを主催したりと多忙な日々を過ごす筒井さんが「何度でも行きたくなる」と語る、「裏」芦屋スポットの数々を案内してもらった。道中の全ての小ネタは記事ではとてもお伝えしきれないけど、実際に歩いて回って一緒にニヤニヤしてもらえると嬉しい。

阪急芦屋川駅からスタート

実は、今回特別に筒井さんが誘ってくれたスペシャルゲストがもう1人。
芦屋に暮らし、地域課題を「調理」する団体・フライパンを運営している横山さん。

自転車で駆けつけてくださった横山さん。(後ろに立つ「イノシシに注意!!」の看板が、六甲山との近さを感じさせる)

芦屋市の公務員側の話と市民側、両方のお話を聴きながら歩けるとは豪華で嬉しい!

みんなで阪急芦屋川駅前に集まり、軽く自己紹介をしたら、さっそく歩き出す。記念すべきファンローカル初のまち歩きで、みんなの期待もひとしお。

芦屋川を渡る時、橋からふと横を向くとこんな光景が見えた。

全体的に緑が多い風景。もっふもふ。

ああ、緑が多くて癒される・・・
・・・ていうか、めっちゃ草多いな。と思ったら、
「市民からも賛否両論あるんですよ」と、筒井さん。

フランク・ロイド・ライトが設計したというヨドコウ迎賓館も坂の間に垣間見える。この辺りはまだまだオモテっぽい芦屋。

駅近のリノベーションビルでおやつを調達

橋を渡るとすぐに、「芦屋あげパン パイクとそら」と書かれた鮮やかな青色の看板が目に飛び込んできた。芦屋にこんなレトロな一画があったとは!

吸い寄せらずにはいられない路地が!

あげパン屋さんの向かいにも同じく長屋をリノベーションしてできたカフェがあり、どちらに行くか迷う。
筒井さんはここで揚げパンを調達し、小腹が空くまでぶらぶら持ち歩いていた。まち歩きのお供はここで買っていこう。

駅前商店街「山手サンモール」

おやつを調達したら、次は駅前商店街を歩く。

芦屋はどんどん洗練されてきていて商店街も少なくなっているけど、その中でも割と下町の雰囲気が残っているのがこのエリアなんだそう。

商店街の様子。立派な松が見えているところに芦屋らしさを感じる。

道のタイルがかわいい。
筒井さん「そうなんですよ。こんなとこまで敷く?っていうポイントもあります」

仕事が細かい!

職人の心意気というか、こだわりを感じるポイント。もしかしたら、芦屋という土地柄が手を抜くことを許さないのかも?と思ってしまう。ここを歩くときは探してみよう。

まちの人の頭の中が垣間見える 古本屋・風文庫

都市の中で暮らしていると、周囲にはどんな人が住んでいて、日々どんなことを考え、どんなものが好きなのか全く知らずに過ごすということが珍しくない。
でも、もしもまちの人の頭の中をちょっとだけ覗けるなら・・・?
そんなことを実現できるのが、ここの商店街の雑居ビルの一画にある「風文庫」。

知らなかったら分かりにくいかも。梅雨の季節なら紫陽花が目印。

中に入ると、小さな空間の中に箱がぎっしりと詰まっている。

ここ、風文庫さんの運営する「芦屋みつばち古書部」では、様々な人たちが部員となり、それぞれの感性で自分の古本売り場を一箱単位で作り上げている。

「風文庫」の中の様子。

筒井さんも「リトルレンズ文芸舎」という屋号で箱を運営している。

筒井さんの箱。本棚には人となりがよく出る。
値札も人それぞれに作っていて見逃せないポイント!

本棚を見ているだけで、このまちの人たちとおしゃべりしているような気分になる。自分の家の近所にもこういうお店があれば良いのに、と羨ましくなってしまった。
ふとレジの横を見ると、『団地ブック』という雑誌が。団地マニアの筒井さんのしわざに違いない。

筒井さんの影響がこんなところに。

芦屋には、その筒井さんをして「未来の世界遺産」と言わしめる団地群があるらしい。一体どれだけすごいのだろうか・・・これはまち歩き後半のお楽しみ。

わくわくエネルギーを生むクレープ屋さん

続いて立ち寄ったのが「幸屋」という、焼き鳥やクレープを売っているお店。
「ぜひ見てほしいものがあります」と言う筒井さんの後についてお店の脇にまわると、何やら不可思議な装置が・・・。

壁には「はつでんチャリ」「わくわくエネルギー」という表示が貼ってある。
自転車を漕ぐと、右にある電球が光って、左からはミスト(粒粗め)が噴き出して、さらに前方からはカセットテープが再生されるシステム!
一体何を言っているのか分からないと思うが、百聞は一見にしかず。実際に漕いでいるメンバーの姿がこちら。

ミストでびしょびしょになりながら自転車をこぐメンバー。

シュールすぎる。

この日自転車を漕いだのは大人だけど、きっとここの店主さんは子どもが大好きな人なんだろうと思う。子どもが大はしゃぎしながら使ってるところも見てみたい。

商店街で見つけられる「裏芦屋」の数々

商店街沿いを歩いていくと、気になるものが次々と見つかる。

プレハブでできたブリティッシュパブ。奥は、焼肉屋さん?
煙突のあるトルコ料理屋さん。

商店街の端には、大きな空き店舗があった。商店街の顔になるような角地で寂しさが目立つ。良い感じに使ってもらえたらいいなあと思う。

空き店舗。商店街の「山手サンモール」の門が横にある。

商店街を抜けて少し進んだ所には、インスタ映えする丸ポストが立っていて、「SAVVY」に出てきそうないい感じの写真を撮ることもできる。

SAVVY的写真スポット。

ポストをよく見ると、なぜかご当地グルメのステッカーがあちこちに貼られていた。この記事が公開される頃には、剥がされているかもしれないし、増えているかもしれない。こういうところも、いわゆる「芦屋らしさ」を裏切ってくれる。

のっけから芦屋の意外な一面を覗き、すっかり夢中になっていくまち歩きメンバーたち。それでも、後になって振り返ってみれば、ここまでは軽いジャブに過ぎなかった。

中編へ続く
あげパン屋 パイクとそら
兵庫県芦屋市東芦屋町5−8
営業時間:10時〜18時
休業日:水曜日
風文庫
兵庫県芦屋市西山町11-6-303
営業時間:11時〜19時
休業日:火曜日、木曜日
幸屋
兵庫県芦屋市西山町1−1
営業時間:15時半〜20時半
休業日:なし

記事を書いた人