高浜町USFESへの招待
ファンローカルが活動を開始して間もない2020年、尼崎のまち歩きにて衝撃的な自宅を披露してくれた建築家の藤本さんが、福井県高浜町に移住して、USFES(アスフェス)というローカルフェスの中心人物になっていました。しかも高浜では漁師建築家として活動しているらしい…?ちょっと意味が分からないですが、そんな藤本さんからファンローカルにUSFES2024へ出店のお誘いをいただきました。各地のローカルなチームに参加を募っているとのこと。なるほど、ファンローカルで出せるコンテンツってなんかあるかな?と思いながらも、せっかくのお誘いなのでのっかっていきましょう。いざ福井!
※藤本さんが市場を案内してくれた尼崎のまち歩き記事はこちら
USFESは高浜町の有志によるローカルフェス!
朝7時前に駅に集合(眠い)、軽自動車に4人+出店の荷物をパンパンに積み込んで高浜町に向かいました。10時半ごろUSFESの会場である旧高浜漁協に到着して、前日から来ていた2人と合流。この日は台風の影響で天気が心配でしたが、大丈夫そうというか、9月半ばなのにめちゃくちゃ暑い。しかしここは覚悟を決めて全力で楽しむのだ。
USFESは高浜町の「あしたあったらイイな」をかたちにする有志のグループ「高浜明日研究所」=通称アスケンによる年に一度のお祭り。地元はもちろん全国から出店あり、DJ・音楽ライブあり、さらに今回は日本海シアターという屋外映画イベントと同時開催ということでコンテンツがモリモリです。
個性豊かなコンテンツと人が集っていました
飲食や物販ブースは色んな場所から様々な活動をしている個性的なチームによる出店で、「どちらから来られたんですかー?」から会話が始まります。ローカルを楽しむ我々ファンローカルにぴったりのフェスではないですか!来てよかった!
地元の小学生たちも開発に関わったという、紫蘇を練り込んだ高浜町のオリジナルそうめん「しそうめん」のブースからは、イベントの最初から最後まで、小学生たちの「しそうめん、かってくださーい!おいしいですよー!」の声が響いていました。(もちろんお土産に買って帰りました!)
一方ファンローカルのブースは…?
ファンローカルの出店の目玉は神戸の下町飲料「アップル」の販売。アップルとは神戸市長田区の駄菓子屋やお好み焼き屋、銭湯で販売されているガラスビンに入った黄色い飲み物です。アップルという名前ですが、リンゴの味はしなくて実はみかん風味(別称みかん水)というややこしいやつ。ビンを回収して再利用する(ビン自体はもう生産してないらしい)のでエコなのです。60年ほどの歴史があるレトロな飲み物ですが、最近になって炭酸入りの新味「アップルサイダー」が開発されました。…ということを一通り話すと興味をもってもらえるのですが、そこまでの説明が難しいという課題が浮き彫りになりました。
アップル以外にもファンローカルメンバーが持ち寄った古本&ローカルなZINEコーナーも設置。奥能登の珠洲市旅行ZINEを、能登瓦レスキュープロジェクト「瓦バンク」さんのグッズと物々交換したり、神戸の温泉施設クアハウスのZINEを京丹波からサウナで出店していた「ぬかとゆげ」のスタッフさんが(2人も!)買ってくれたり、そしてZINEに興味をもってくれたお客さんが「私も少し前にZINEを作ったんですよ」とスマホでZINEを見せてくれたりと、ZINEを媒介にしてお金のやり取り以上の交流が発生するなど、ZINEのパワーを感じることができました。
ファンローカル的MVPてきちゃん
お隣に出店していた「ゲリラ書店フジモテキイグチ」は、藤本さんもメンバーに含む3人組の古本チーム。ただし今回は1人欠席の上、藤本さんはイベントの切り盛りで忙しくほぼ不在ということで、残るメンバーであるてきちゃんのほぼワンオペ状態。お互いのブースを行ったり来たりしながらファンローカルとどんどん距離が近づいていき、ブースから溢れた(6人もいるもんで)メンバーがてきちゃんブース内にしれっと侵入、最終的にはほぼ一体化していました。ありがとうてきちゃん。
日本海シアターで藤本さんのドキュメント映画鑑賞
そして何といっても日本海シアターの会場、少し前まで漁港の荷さばき場として使われていた空間に、カーテンとパレット(フォークリフトで運ぶ板状の土台)で作った桟敷席を並べた仮設の劇場がすばらしかったです。ここで映画を観た地元の子どもたちには何かが残る体験になったんじゃないかなぁ。この日は藤本さんを取材したドキュメント映画が上映されたので、お店を一時閉店してみんなで観にいきました。漁師建築家とはなんぞや?と思っていましたが、実際に映画を観ると朝4時から漁に出て網を引き、漁港で魚を仕分け、漁師の仕事が終わった午後から建築家の仕事をしている姿が。単純に普通の2倍働いているということ?と絶句。そして、藤本さんは学生時代に高浜町をリサーチのフィールドとしていたこと、設計事務所で働いていた時には漁師小屋の姿や文化を新漁港に隣接する新たな6次産業施設「UMIKARA」の設計に活かしたこと、そしてそれによって一層高浜への思いが強くなり、移住に至ったという経緯が語られていました。藤本さんかっこいい。
高浜のまちをプチウロウロ〜カル
ドキュメント映画を見終えると日も傾き始め、ほんの少し暑さも和らいできたので、ぶらっと高浜町を散歩してみることにしました。漁師の集落らしい密集した家屋、路地、信仰、天気を予測する計器などに興奮。さっき観たばかりの藤本さんのドキュメンタリーの中でも語られた、漁師小屋の実物も見ることができました。さらに、まちのいたる所に出現するイガイガ頭で半裸の謎のキャラクターが気になり過ぎたのですが、どこにも説明が見当たらない。スマホで調べてみると、高浜町商工会の「赤ふん坊や」というキャラクターで、昭和63年というゆるキャラ前史から頑張っているベテラン(坊やだけど)キャラクターであることが分かりました。ホームページを見ると着ぐるみがイラストと全然違うし、使い所が難しい様々なバリエーションの画像が配布されていたりと、濃いいモノを見つけてしまったようです。藤本さんが仕事として関わった、UMIKARAも見学(お土産購入)することができ、短い時間でしたが充実したプチウロウロ〜カルになりました。
散歩から戻ると、他の出店ブースはほとんど引き上げており、取り残されていたファンローカルブース笑。この日最後のプログラムの音楽演奏を聴きながら片付け。
正直なところ、お昼は暑過ぎて身の危険を感じましたが、高浜に来て、USFESに出店にしたから出会えたものがたくさんあり過ぎな旅になりました。藤本さんと高浜町の動きはこれからも追っていきたいと思います。