筒井さんとめぐる「裏」芦屋 後編

筒井さんとめぐる「裏」芦屋 後編

案内人:芦屋市職員 筒井さん

2020年6月、阪急芦屋川駅から出発して南方面へ芦屋市内をまち歩きしました。

この記事は、前編 / 中編 / 後編 があり、この記事は後編です。

今回のまち歩きマップ

筒井さんが吸い寄せられた、芦屋の団地とは

浜側にどんどん南下していく。芦屋まち歩きもついにクライマックスが近づいてきた。

筒井さんは岐阜県出身で、大学時代を京都で過ごした。
芦屋には元々何の縁もなかった筒井さんが、なぜ芦屋市役所で働くことになったのか。
そのきっかけの1つが、芦屋の浜手の方にある芦屋市立美術博物館だ。

ご本人いわく「量産型サブカル男子」として、現代美術家・奈良美智の展覧会を観るためにこの美術館を訪れた。そこで芦屋浜団地の存在も知り、その後色々あって就職先を考えたときに芦屋市が頭に浮かび、働くことになったようだ。

芦屋は山手のイメージばかりで海側のイメージがないが、筒井さんを吸い寄せた浜手の芦屋とは一体どんな所なんだろう。

筒井さんが芦屋に来るきっかけになった芦屋市立美術博物館。周りの松が立派すぎる。

ポストモダンな建築。

海側に来るにつれて建物が一気に現代的になっていく。山側のお屋敷群とのコントラストが面白い。

美術館の庭に置かれている石。

美術館の庭には、大阪城を築城した際に石垣になるはずが、運ばれずに残された大きな石が並べられている。
歴史的遺産であり、現代アートでもあり、子どもの遊び場。

「美術館に来た時、この石の周りで子どもがはしゃいでいるのを見るといいなと思いますね」

危ないからと禁止するのではなく、遊んでもらう。こんなところにも芦屋の意外な大らかさが垣間見える。

美術館の南側の歩道には埋め立て以前の防潮堤が。こんな所にも歴史が滲み出ている。

ついに団地が見えてきた!!

公園を通り抜けていくと、ついに団地が見えてきて一同大興奮!

ついにご対面・・・!!

「超かっこいい!」
「SF感ハンパない」
「第3新東京市やん」
「完全にエヴァの世界観」
「合体してロボットになれそう」

ここまで歩いてきた疲れも吹き飛び、口々に褒め(?)称える。
筒井さんは、大好きな団地をみんなに紹介できたからなのか、一段とニコニコしているように見えた。

まるで列車のように連なる、団地団地団地!

ここからは、団地のある不思議で美しい風景を惜しみなく紹介していきたい。

圧倒的存在感・・・。

「鏡団地」が楽しめる貴重なスポットなのだそう。

工事中の姿も迫力がある。

このように、360度どこを撮っても「映えて」しまう。

「未来の世界遺産」

高度経済成長期にできた芦屋浜団地には、近未来の住宅を作ろうという気概が随所に感じられる。
最大の特徴が、プレハブ構造になっていて5階ごとに共同スペースが設けられていること。エレベーターはこの共同スペースとなっている階にしか停まらない。住居に辿り着くには必ず階段を上るか下るかしなくてはいけないので、引っ越し業者と宅配業者にとても不評だと聞いて苦笑してしまう。

漂うディストピア感。

他にも、真空のダストシュートが設けられていていつでもゴミを出せるようになっていたり、中央にあるエネルギーセンターで冷暖房や給湯を集中管理していたりする。まるで星新一のショート・ショートのような世界だ。

「2100年の街の様子です」って言われても信じちゃうかも。

ちなみに、ゴミ処理パイプラインは老朽化していてさすがに廃止の動きがあるらしい。反対運動も激しかったが、20〜30年かけて運用停止することが条例でも定められたとのこと。

この団地が建った時と今とでは、技術も思想も変わっている。
それでも、修復を繰り返しながら40年間、芦屋浜団地はここにそびえ立ち続けている。
次の40年間はどうなっていくのだろう。筒井さんが呼ぶように、「未来の世界遺産」になる日も来るのかもしれない。

六甲山とのコントラストは、確かに遺産級の存在感!

今回の芦屋まち歩きはこれにて終了。

距離的にも長かったけど、時間軸的にも過去・現在・未来に思いを馳せながら歩いた、かなり濃密なまち歩きだった。筒井さんのような(良い意味での)変人が市役所で働いているだけでなく、横山さんのような心強い市民もいるのだから、芦屋はこれからもっともっと面白くなっていくに違いない。

また絶対に歩きに行かなくては!

最後にレトロなお好み焼き屋さん「幸味」の前で記念撮影。筒井さん、ありがとうございました!!
芦屋市立美術博物館
兵庫県芦屋市伊勢町12−25
営業時間:10時〜17時
休業日:月曜日
芦屋浜団地(シーサイドタウン)
兵庫県芦屋市浜風町17

幸味
兵庫県芦屋市宮川町1-13
営業時間:11時半〜14時、17時半〜21時
休業日:木曜日曜日

記事を書いた人